チェロ作品

●作品５／無伴奏チェロの為の４つの小品

＜作品ノート＞

この「無伴奏チェロの為の4つの小品」は日本旋法に基づいています。

日本旋法には様々な種類のものがありますが今回用いた旋法は，民謡・わらべ歌・子守唄などで用いられる最も基本的なもので，日本旋法の中では古い部類に入るでしょう。

私は二十歳の頃，日本旋法に関心を持ちました。そして22歳の時，日本旋法で作曲を試みましたが，都合によりその後日本旋法に取り組むことはありませんでした。さらに音楽自体，20年ほど遠ざかっていました。楽器の練習はおろか，聞くことすら殆どありませんでした。

50歳になったのを契機に音楽を復活しました。時間的なゆとりがありませんので，パソコンを使って，日本旋法専門に取り組むことにしました。

日本旋法については，まだ理論の確立が行われていません。私には採譜を行ったり，伝統音楽を聞いたり，他の作曲家の作品を考証したりする時間がありませんので，私自身の感性を研究の対象とし，私自身の作例を通じて日本旋法の変遷や理論的研究を行っています。試行錯誤の連続ですが，それにより得られた推論は文献を読んでいると結構当たっていることが多いです。とにかく日本旋法は私のライフワークとして取り組んでいきたいと思っています。

この作品は三日間で書き上げたもので，いわば即興作品です。難しく考えず，自由に弾いて下さい。記譜法は通常のチェロ用を用いず，ピアノ譜でやってみました。チェロの知識はさほどありません。音を省くのも付け加えるのも自由です。即興的要素を加味するのも結構です。

2002年8月20日記